初 ACE CAFE LONDON
2004年7月某日、はじめてのACE CAFE(エース・カフェ)は電車。家からは一時間強の道のり。3年前の時はレザーガール・ヒロコが愛車 BSA C15の後ろに乗っけてくれて、ノースサーキュラーを疾走していったけれど。最寄り駅Stone Bridge Park(ストーンブリッジパーク)で降りて約5分強かけて歩く。高架の下をくぐりながら、その時のことをふと思い出す。

 遠くに建物が見えて、テンションがあがってくる。だけど、グランドオープンしてからは初めてなので「飲みものはどうやって買えばいいんだ?ROCKERSはたくさんいるのかな?」などと緊張も混じる。 この日は暖かかったこともあり、店の外にもたくさん人がいた。ギクシャクしながら(笑)まずはカウンターでビールをパブのように注文し、そこらの席に着く。「さて、どうしたものか。」と考えていたときにLinda(リンダ・代表マークの奥さん)が、「あなたHIROじゃないの?その革ジャンのエンブレムで判ったわよ。ヒロコがメールであなたが来るって教えてくれてたのよ。」と声をかけてくれた!(2000年ごろに初めてACEへ行ったとき、まだグランドオープン前の時だった。建物は改装が始ったところらしく、中はガラガラ。マークがその中に連れて行ってくれて「ここがカウンターになる。」などと説明してくれた。(レザーガール翻訳!)建物の横にぽつんとプレハブを建ててその頃は営業していたようで、中で紅茶を自分で作ったり、プレハブの奥でグッズが販売されていたことを思い出す。マークともっと話したいと思い、数日後に自宅へ訪れさせてもらった。そこで日本のイベントROCKERS DAYへのメッセージをもらう約束や自分がしていることを伝えた。(もちろん訳してもらって!) その後、レザーガールのC15に電気系統の問題が起こり、結局再びマーク宅へ戻りトーストかじらせてもらったこともいい思い出だ。)

 ROCKERS DAYの雑誌やバッジを渡し、うまくも無い英語で必死に話す。その後は近くの席に座ってたバイカーが日本の雑誌を見せてくれって言ってくれたので一緒に座って雑談。そんな時、ROCKERSが数台で登場!! 思わず外に飛び出して話しかける。ACE CAFEは当時、ROCKERSが集まるカフェだった。しかし、今ではその姿は少ない。ROCKERSが昼夜問わず、たむろっていると想像していくと思いっきり期待を裏切られるからご注意。Mark(代表マーク・ウィルスモア)とは忙しそうだったので話ができないかと思っていたが、ふと目が合ったときに、ニコッと笑いピースサインをしてくれた。これまではピースってなんかダサいから嫌だったのだが「よぅ!」って手を上げられるよりも嬉しいものだ。俺も使わしてもらうよ!「お前、前いつ来たっけ?」「ROCKERS DAY バッジありがとうな。このカウルと羽のやつはかっこいいね。バイクはこっちでどうすんの?」みたいな話を。

そんなこんなで今回の初エースは幕を閉じる。帰りの電車ではその興奮が冷めなかった。

* ROCKERS DAYとは毎年5月奈良で開催されるイベント。5回目よりHIROYUKIが代表、詳しくはここで!
  http://rday.fc2web.com/


ACE CAFE LONDON ROCKERS!! Jonny Stuart!
7月の終わり、再びACE CAFE(エース・カフェ)。そして今回も電車。家から一時間半ほどかけて行く。

 ビールを飲みながらボケっとしていると(日本人ROCKERだからといって、あまり話しかけられない)、前回会ったROCKER達が到着し嬉しい再会。その中の一人がある初老の男性を指してこういう、「彼は当時からずっとROCKERで、私たちのヒーローなのよ」と。彼に話しかけてみると、「ちょっと待ってろ、本を見せてやる!」なんと、この人Dave(デイブ)はROCKERS写真集に載っている人ではないか!当時の彼女(確認済)とのツーショットと、他のページにも小さいけれど後姿が!本を持ってる人は要確認!!

 夜も更けてきて、ROCKERたちも帰路に着く。じゃあまたね!「Take care!」と見送る。夜、ACE CAFEの明かりに照らされて走り去るROCKERSはなんともカッコイイ!くそっ!俺も早くバイク乗りたいなぁ〜ってつくづく感じた一日。



ちなみに、この時真夏の7月下旬! 日中でもライダースが着れるいい気温。日本では相当の気合が必要だというのに!



ACE CAFE LONDONの存在
 MBRのオンラインショップでは、ACE CAFEのスタンダードアイテムを扱うことにした。それは、日本のオークションやショップなどで、あまりにぼったくられていることが多いことへの不満(ショップの場合は運営費などが加味されるのである程度は当然だが)とACEのサポートのためだ。もっとACE CAFEを身近に感じて欲しい。「伝説」だと神棚に祭りすぎないで欲しい。自分がROCKERである限りそのグッズを買うことによって、ACEへの貢献、引いては歴史のほんの小さな一部にはなれてるのだから!

 日本のROCKERや少し知ってる奴に尋ねるとこういうだろう。「当時ROCKERSが集まってた”伝説”のカフェ」と。そして、日本ではそのロゴマークのグッズは高値だけどやはり、伝説のカフェのアイテムだから欲しい!と。

 50,60年代のACE CAFE。ROCKERSが各々の愛車で乗りつける。人のざわめきと絶えず鳴り響く排気音。ある奴が調子に乗ってアクセルを煽ればそれにつられ、奴らのボルテージは上がりジュークボックスランが始まる。「おい、今日はお前にパイントおごらせてやるぜ!」 そんな想像を、当時の写真をみながらするだけで胸が熱くなったことが事がある奴にとっては、本当に憧れで大事な場所だろう。もちろん、自分にとってもそうだ。
*パイントとは英国でのビール一杯を言う基準で500ml強。

 ACE CAFEの現在とは?ROCKERSはいつもいるのか?いつもロックンロールが流れているのか?やはり「伝説」の「聖地」なのだろうか?

 一度でも行ったことがある人は知っているだろう。通常、ROCKERSの姿を見ることは少ないし英車だって少ない。「おいおい、じゃあ一体なんだ?」という疑問が湧くのは当然。ここでACE CAFEのイベント等を紹介する。

Suzuki Sunday!!
 ACE CAFEでは年間を通じて決まっているスケジュールがある。毎年9月に行われる「ACE CAFE REUNION」が有名だろう。そして月の中でレギュラーのイベントが決まっている。第一日曜日は「SUZUKI SUNDAY」、第一水曜日は「HOT ROD NIGHT」、第3金曜日は「ROCKERS ’N’ CLASSIC BIKE NIGHT」などなど。そしてそのレギュラーイベントの間には不定期、もしくは単発のイベントが入ってくる。「EDDIE COCHRAN TRIBUTE NIGHT」や「TON UP DAY」など。ほとんどの日に何かしらのイベントがある。

 最近、一番驚いたのは、ACE CAFEで「R ’N’ B ヒップホップナイト」が開催されたことだ。

 これを読んで混乱している人もいると思うが、この後を読んで欲しい。


 ACE CAFEが現代に「存在」するということは、我らROCKERSにとってとても大事なことで素晴らしいと思う。しかし、「経営」の面で言えば「ROCKERS」だけ相手にしていて成り立つのかというと、それは不可能なようだ。そこで「ROCKERS」を「増やそう」とするよりは現代のニーズに合わせたモータースポーツ、音楽のイベントをして集客力を増した方がどれだけ更なる利益が望めるか、ということになる。

 「ROCKERS」はイギリスから生まれたもので、それが「無くなる」ことはない。だが、実際にこちらのROCKERSの年齢層は日本と比べると格段に高く(いくつかの世代があるようだ)、20歳代のROCKERを見ることは極めて稀だ。ということは、現在のロンドンの若者にとって「ROCKERS」よりもヒップホップやだっさいスクーターや派手なカラーリングの速い日本車の方が魅力的に映っているのだろう。だから日本人の僕ら、若い奴が「ROCKERS,59クラブ,ACE CAFE!」とアツくなっても、こちらの若者には理解できないことなのだ。

 しかし、ACE CAFE LONDONの単なる懐古主義ではなく、新しい不良のスタイルの発信源となろうとする方針は嫌いではないし賢い選択だと言える。だが、英国と日本の間にはその捉え方にかなりの開きがあるということを知ってもらいたい。

 日本人のライセンス好きはついにACE CAFE LONDONにも触手が伸び、現在日本生産のACE CAFE LONDONが展開されている。金銭事情で言えば、ACE CAFE側はライセンス契約を結ぶことによる契約金、そこからはほっておくだけで金が入ってくることになるので万々歳だろうが、その歴史を利用した、「ロゴ」ブランドになることは正直心苦しい。日本では、そのカフェ自体の存在がないのでROCKERSだけをターゲットにしてしまうと、さらに利益が見込めない。結果その幅を拡げざるを得ないし、一体何が根底にあるものかがわからなくなって、最終的には安っぽいもので終わってしまうのではないかと危惧している。なぜなら、日本には本国同様の歴史がなく、一過性のものが多い。(それは西洋化がなされて歴史が浅い、日本人ならではの面白みではあるけれど)ライセンスを取得するぐらいだから、会社としても利益を出さないとその意味を成さない。その歴史の無い日本で、どうやって展開していくんだろうか?ロゴを使うデザインははっきりいってナンセンス極まりない。かといって、素材やディティールにこだわったところで、「ACE CAFE LONDON」の商品ということがわからないと売れない。所詮、ライセンスはライセンスであり、その企画に携わっている方は苦労されているだろうが、こうはっきり言わしてもらう。「あんた方はROCKERじゃないだろ、なんでやってんだよ?」と。ただ、そのライセンス取得に尽力した一人の男の気持ちはアツく、いいROCKERだと思うことを付記しておくが、会社という規模での「利益」を追求しなければいけないことについては、上記の通り。

 ここまで読んでもらって、ACE CAFEはあなたの中でどう変わっただろう?

 あまり、日本では取り上げられない事をあえて書いてきた。

 しかし、そのACEが現在に蘇ったことで、ROCKERSはまた一つ集まるところを手に入れた。当時のROCKERは懐かしむ場所ができた。そこで俺もROCKERと知り合った。歴史は繋がっていく。

 ACE CAFEに初めてバイクで乗りつけたときは思わず涙が湧いてきた。

 ACE CAFEは、やっぱり俺らの伝説の場所なのだ!!

*アマゾンだと各雑誌が本国同様の値段でゲット!
ROCKERS!:ジョニースチュアートの本。絶対必需品!一緒にTEDSも!
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ACE CAFE LONDON THEN AND NOW!:ACE CAFEの昔と今。歴史をたどる本!!
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